!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!
本ページは『映画|グロテスク Unrated Version』のネタバレ全開です。この映画の普通の(ネタバレのない)レビューはこちらにあります↓
ネタバレあらすじ
キチガイ男はカレシに対し「愛する女を助けたかったら、きみががまんするのだ」てなことをいってさんざん痛いことをする。このままこれがずっと続くのだろうなあと思ったら、意外な展開になる。カレシ男がチンコカットの痛みに耐えるのを見たキチガイは、こんなことをいいだすのだ。
「感動した!あんた、えらいよ!よし、約束通りきみらを助けてあげる。ぜったい死なせないぞ!ぼくを感動させてくれたんだからね。待ってろよ」
なんつって、いきなり善良な救急隊員にイメチェンする。ふたりは清潔な病室ベッドに寝かされ、献身的な治療看護を受ける。このキラーは手術着を着てたんだが、ほんとに医者だったらしい。彼は「きみらがもうすこしよくなったら、ぼくといっしょに出よう。ぼかあ、自首する。7億円の貯金をぜんぶあげる」という。
ふたりはこれを真に受けたようであり(バカ)、病室で心温まる会話をする。
「わたし、このまま外に出れたら小島サン(カレシの名前)の力になりたい」
「おれ、カタワだけど、カタワとカタワがくっつけば、ちゃんと二輪車だもんな!」
「がんばります!」
「うれしくてうんこしたくなっちゃたよ」
「やだ。きゃは」
2人はのんきにしゃべっているのであるが、ところで、このシーンでは、ふたりはキラーの話をして「あのひと、自分じゃぜんぜん気づいてないんだね」「あれはひどいよ」という会話があるんだが、最後にその意味が明かされます。
さて、キラーの約束はもちろんウソである。キチガイが約束を守るわけない!ふたりはまたまた拷問部屋に連行され、ラウンド2スタート。2人は深く絶望する。キチガイはカレシ男にルールを説明。
「これから君のおなかを切って腸をずるずるひきだすよ。それをチョン切って、このカギフックに結ぶ。あんたは彼女のところまで行くの。でも腸の長さが足りないでしょ。だからここにハサミを置いとくよ。これで自分の腸を切りなさい。んで、彼女のところまでたどり着くんだ。んで、彼女の拘束を解いてあげるんだ。ここまでできたら、彼女だけは逃がしてあげる。あんたはどうせ死ぬけどね。どうすか。ロマンチックでしょ。ハイいくよ。よーいどん」
という話で、カレシはいわれた通りに腸を引きずってがんばるのだが、キチガイはマラソンを応援する人のように暖かい声援を送るのであるが、カレシは途中で動けなくなる。やっぱりなあ。はい、ごくろうさん。
最後。
長澤つぐみは泣きわめいてカレシのジタバタを見ていたが、カレシが動かなくなると強烈な怒りがわいてきたようであり、もう知るか!殺されたっていいんだ!とステバチに開き直った面構えでにたりと笑い、キラーをコバカにする。やっぱドタンバになると女は強い!
「わたしはあんたを知ってるヨ。ヒッヒッ」
「なぬぅ?!」
「あんたはあの汚いババア娼婦の息子でしょう?おなじ匂いがするからすぐにわかった。自分で気づいてないんでしょ。ハハハ。哀れだね。あんたはひどいワキガなんだよ。すごく臭いの。だから女の子に相手にされなくてモテないの。あー、気づいてないんだ?ははーん。いままでそれを知らなかったってことは、あんたに教えてくれるようなひとはだれもいなかったてことだよね?つまり、あんたはだれにも愛されたことないんだね?だからこんなことするんでしょ?バーカ。へーんだ」
「お、おれが、わきが、だとおおおおおお?!くさいだとおお?!」
キチガイはガガーと興奮し、長澤つぐみをオノで盛大に首チョンパする。フルスイングでズターン!ちょっきーーーーーん!血飛沫ドバー!宙に舞う生首がぴょーんと戻ってくる!それはキラーめがけて落ちてきたと思ったら、相手の首にガブリと噛みつく!生首女の反撃を見たカレシは再び息を吹き返し、デカハサミを手に持ち、敵の足にズブリ。キチガイは倒れる。首からゲボゲボ流血。やったぜ。まいったか。恋人同士は目を見合わせて死亡。キラーも死亡。ぜんぶ死亡。
レンタル版はココで終わるらしいですが、セル版は以下のエンディングがあります↓
と、思ったら、じつはキチガイは生きていた。彼はギリギリセーフで助かったみたい。ワキガであることを教えてくれたカップルに深く感謝する彼は丁重にお墓参りをする。んで、今日も拷問相手を物色にいく。デオドラントスプレーを念入りにシュー。
おしまい。
※最後は3人まとめて死亡。おしまい。のほうがいいなあと思いましたけど、余計なお世話ですません。
※ラストの生首の長澤つぐみちゃんはすごくよかったよ。あれがあったから、DVD買ってよかったなとおもいました。いやほんと。ははははははは。
ちょと追記
上に書いたようにこれがbanされるってのはへんだなあと思うんですが、不肖、私、思うに、BBFCのえらいひとはワキガなんじゃないですかね。「ワキガ = だれにも愛されない = 殺人鬼」ってのが逆鱗に触れたのかもしれない!
セル版レンタル版のエンディングの違いについて
さらに追記です。
白石晃士監督自ら、twitterで「レンタル版でカットされたエンディングの意味は?」「なぜカットされたのか?」について、ファンの質問に答える形で教えてくれました。そのその内容を引用します。
まず仰ってる「幸せ」の価値基準は個人個人によってあまりに違うので、「幸せ」を基準にはお答えしても意味がないと思います。また「幸せ」について演出するという意図はありませんでした。あの三人の関係の結果が劇中で消えず、残って、続いていくということを描写しました。 @kaz_zuki
— 白石晃士 (@shiraishikouji) May 31, 2013
(中略)
@kaz_zuki あなたがほぼ一般的な善悪の価値基準であの映画を見ているので「拉致をやめられるほどの〜」という比較が出てくるのだと思いますが、『グロテスク』は社会通念的な倫理の価値基準で演出されていません。つまりカップルの影響の最上級が拉致をやめることや自首ではありません。
— 白石晃士 (@shiraishikouji) May 31, 2013
(中略)
@kaz_zuki ただカップルがあの男の人生にささやかながら大きな影響を与えた(それが一般的な倫理における善悪とは関係なく)、ということを描写しています。
— 白石晃士 (@shiraishikouji) May 31, 2013
(中略)
@kaz_zuki 意図としては、それが憎悪であれ蔑みであれ、お互いが本気の感情をぶつけ合った先には、何か価値あるもの(それが他者には無価値なものでも映画を見ている人には価値を感じられるもの)が残っていて欲しい、という希望です。きっと彼は初めて感情をぶつけ合ったのだと思います。
— 白石晃士 (@shiraishikouji) May 31, 2013
@kaz_zuki レンタル版ではラストが無くなり、コミュニケーションが途絶えます。お客さんだけが彼らの生きざま死にざまの価値を持ち帰る、という成立はしていますが、私にはそれは悲しすぎる結末です。本来は劇中の世界に希望を残したいので、アンレイテッド版が本来の姿だと思っています。
— 白石晃士 (@shiraishikouji) May 31, 2013
@kaz_zuki 私は大迫さん演ずる役の犯罪を劇中で悪として断罪していません。一切、していません。それが映画の意図ではないからです。しかし映倫が最も反応したのはグロよりもそこで、犯罪者の犯罪を成功させて生かすのはマズイ、それが変わらない限り審査は通せないということでした。
— 白石晃士 (@shiraishikouji) May 31, 2013
@kaz_zuki 映倫の審査を通したものでないとTSUTAYAなど大手のレンタルチェーン店に流通させてもらえないので、犯罪者が生き残って新たな犯罪を犯すというラストは、レンタル版ではカットとなった次第です。
— 白石晃士 (@shiraishikouji) May 31, 2013
上の会話は一部抜粋です。以下のリンクをぜんぶ読むと、会話の流れがよりよくわかります↓
なるほどー。私は、正直言って、ここまでの意図を読み取れていませんでした。丁寧に説明してくださった白石監督、ありがとう!
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