2011/7/8 (Fri) at 9:58 pm

映画|IN HER SKIN/イン・ハー・スキン

美少女カワイコちゃんが失踪。オーストラリアのスリラー映画。ガイ・ピアースミランダ・オットールース・ブラッドリーサム・ニール。監督シモーヌ・ノース。2009年。

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実話ベースの話。

1999年3月。

15歳のバレエダンサー美少女、レイチェルさん(ケイト・ベル)は、ある日、とつぜん失踪した。

両親(ガイ・ピアースミランダ・オットー)は大心配で探しまわるが、見つからない。

レイチェルは失踪する直前、自分のカレシ(カーン・チッテンデン)に「パッと大金を稼げるバイトをやるんだ」とうれしげにしゃべっていたそうな。でも、それがどんな仕事なんだか、彼女は誰にもいわなかった。

という話からして、もしかして、どっかの悪人にだまされ、売春宿に売られちゃったんじゃないか、と両親が考えるのは必然である。彼らは何度も警察に行くが、よくある家出娘と思われて、捜査をしてもらえない。

両親は失踪少女のチラシをつくって、そこらじゅうに貼る。でも手がかりは出てこない。

ここで話は変わり、4年前のフラッシュバックになる。

キャロライン(ルース・ブラッドリー)というデブ女が登場する。見ため高校生くらい。彼女は、当時、レイチェル一家が住んでいた家のご近所さんで、家族同士の交流があった。当時11歳のレイチェルのベビーシッターをやったことから、ふたりは知り合った。デブ女のキャロラインの方が少し年上です。

キャロラインはレイチェルとは大違いの、不幸な少女であった。自分は孤独であり、醜悪であり、誰からも愛されず、親からサジを投げられていると思い込んでいる。

部屋にひきこもり、親に宛てた恨みの手紙を書き殴り、寂しさに耐え切れなくなると「アァアアアアアアア!」と叫んで、壁をケトばす。そんな日々を送っています。

負のエキスをお腹いっぱいに溜め込んだデブ娘の心は、固く閉ざされている。わたしはブス。わたしはゴミ。わたしはダメ人間。もう変えられないの。

こんな調子のキャロラインさんなので、バレエをやってる美少女のレイチェルさんとは真逆であるから、ふたりは顔見知りではあるものの、友達のような交流はなかった。

両者は家庭の雰囲気も違う。レイチェルさんの両親は優しくてかっこいい。保険会社のCMに出てくるような家族であるが、キャロラインんちじゃ母親は泣いてばかりで、父親(サム・ニール)は家に寄りつかない。

美少女レイチェルにしてみれば、キャロラインのような女は引っ越しと同時に忘れてしまう存在である。あー、へんなネーチャンがいたよね、くらいの。が、キャロラインからすると、レイチェルという女は強烈な印象を残した。

「ああいうチャラチャラした女がいるから、わたしのようなグズは一生不幸で、誰からも相手にされず、ウジ虫なのだ。あんな女は人類の敵である。だから死んじまえ」

という台詞はなかったが、これは私がキャロラインさんの気持ちを想像して書いただけですが、ま、そんな調子で、身勝手な怒りをメラメラとたぎらせていたんですな。

この4年前の出会いがレイチェルの失踪に関係があるらしいです。彼女はどこに行っちゃったんでしょうか。

トレイラー動画

In Her Skin (2009) trailer

感想

おもしろかった!

キャロライン・オン・ステージ!

不幸女を演じたルース・ブラッドリーがとってもよかった!

ガイ・ピアースミランダ・オットーサム・ニールといったみなさんは期待通りの安定力なんだが、それだけだと並レベルで、むしろスターのみなさんは、キャロラインの狂気を補強するために演技をしたといっていいのではないか。彼女は常に物語の中心にいて、存在感がありました。

意外性や犯人探しのおもしろさなどはありません。誰もが想像する通り、逆恨みのブス女が美少女カワイコちゃんをひっさらうというだけの話です。単純でドラマティックな映画でした。

サム・ニール演じる父親の前でまっぱだかになり、おすもうさんのような裸体をジャジャーンとさらけ出し、次のような台詞をしゃべります。

「わたしをみて!きったないでしょう?こんなにブスなのおおお!この顔!この足!きたないきたないきたない!わたしなんか、だーーーーいっきらいいいいいいいいい!」

うへー。ジャンボ鶴田のようなストンピング攻撃するとこなんか大迫力で、地球が割れるんじゃないかと思いました。

ぢっとしているときには、病的なニタリ顔になったり、ムス顔になったりする。ブス女の演技をえんえんやられると飽きてくるものですが、彼女の演技は変化に富んでいた。エンディングはえもいわれぬ静かな狂気に落ちます。ラストで見せる、あの、なんともいえない、満足げな顔つきもよかったなあ。

オーストラリアの美少女絡みの映画といえば『レイク・マンゴー 〜アリス・パーマーの最期の3日間〜 (2008)』がすごくよかったですが、あちらは水難事故で死んだ少女のオカルト話で、内容はぜんぜんちがうんだが、チョッピリ共通点が感じられました。事件後、両親が子供だと思ってた娘には大いなる秘密があったらしいよと知って驚くとかですね、なにかこう、『思春期の少女の闇』みたいなのが最近のオーストラリア映画の不変テーマなのかなあ。

この映画のDVDはオマケナシでした。残念だなあ。

Memorable Quotes

Caroline Reid: Look at me! Look at my face! I have a big nose! Look at my disgusting skin! My hair is oily and dirty and horrible! Look at my teeth! They're yellow! Look at my disgusting body. It's white, and it's fat. I have rolls of fat. Even my legs are short and stubby. My lips are yucky. Small, beady eyes. I hate myself! I hate everything! I'm trapped in this ugly body! It's ugly, ugly! I hate me!

Caroline Reid: This is the story of my death. They say I died that day. That wasn't me that died. That was someone else. My path is clear. I've become who I was meant to be. I'm gonna grow my hair to my feet. It'll touch the ground when I walk, wild and free. The sky is so beautiful today. I feel beautiful, just like the sky.

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原題: In Her Skin
別題: A bőrödbe bújva
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I Am You - Mörderische Sehnsucht
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In Her Skin
Kusursuz Kurban
Missing
邦題(カタカナ): 『IN HER SKIN/イン・ハー・スキン』
制作年: 2009年
制作国: オーストラリア
公開日: 2009年 (オーストラリア)
2009年3月14日 (オーストラリア) (OzFlix Film Festival)
2010年5月13日 (フランス) (Cannes Film Market)
2011年2月11日 (アメリカ) (limited)
2011年9月30日 (ドイツ) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: In Her Skin
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出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
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アートディレクション
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視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
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