映画|スピーシー・オブ・コブラ|Hisss

ガンで死を宣告されたアメリカ人の男（ジェフ・ドーセット）が、生き延びるために、インドの蛇女をとっつかまえる計画を立てる。Naginと呼ばれる蛇女はインド4000年の歴史に遡る伝説魔神で、ナアグマニ（Naagmani）ていう霊石を持っていて、これを奪うことができれば不死の力を得られるのだ。

死にかけ男は現地のチンピラどもを雇い、ジャングル密林で仲良く交尾中のコブラのカップルを発見し、オス蛇をうまいこと生け捕りにした。あとは、怒ったメスが大蛇の姿で取り返しにやってくるのを待ち、そいつが現れたらホイと返り討ちにして、不死の秘密を盗んでしまえ、そうすれば死なずにすむのだ、おれは不死になれるのだ！という魂胆であった。

やがて、ジャングルの泥の中から蛇女（マリカ・シェラワット）がジャジャーンと出てくる。スーパーモデル美女のような外観でふらふら歩き回り、まずはワニの卵を丸呑みしてはらごしらえをした。彼女の目的は愛する恋人ヘビを救出し、不埒なわるもんをブッ殺すことである。里に下りてきて、恋人を探しまわる。邪魔するヤツはブッ殺す！

蛇女はふだんは美女の姿なんだが、戦闘態勢になるとガガーと大蛇に変身します。蛇神様と怖れられる通り、迫力満天の外観。死にかけ男は予定通りに蛇女をおびき寄せることができたとしても、こんな強敵を相手にいったいどうやって闘うつもりなんでしょうか。

蛇女を追うニヒルな刑事にイルファン・カーン。刑事の奥さんにディヴィヤ・ダッタ。VFXプロデューサーにロバート・カーツマン。監督ジェニファー・チェンバース・リンチはデヴィッド・リンチの娘さんだそうです。『イレイザーヘッド（1976）』に少女役で出てたらしい。

アメリカ人とインド人がいっしょにつくったホラー映画。

トレイラー／メイキング動画

トレイラー↓

以下はメイキングのビデオ。アメリカ人とインド人がコラボするのは大変だったけど勉強になりましたというような話をみなさんがしゃべってます。カーツマン先生も出てくるよ↓

感想

この蛇女はじつにおっかないんだが、だれでも襲うというわけでなく、義侠心があるのです。弱い者いぢめをする乱暴者やレイピストなどを見るとほうっておけない性格らしくて、わるもんをガガーとブッ殺します。だから信心深いひとたちは「蛇神さまやー。ありがたやー」とお祈りをします。人気者なんですね。

彼女が里に下りてきたらば、ちょうどお祭りをやってて、道ばたにいた蛇使いのオッサンの吹く笛に乗せられてヘビヘビダンスを踊ってしまうというかわいい一面もあります。なかなかおもしろい。

VFXがロバーツ・カーツマンということで、蛇女のビジュアルはどんなもんかえと期待するわけですが、特殊メイクとCGを組み合わせたヤツでなかなかよかったんだけど、ちょっと見せ場が少ないかなとおもいました。映画の最初のほうで、初めて大蛇に変身するところ。「ぐぉおおおおお、がががががー、うぉおおおおおりゃあ」というかんじでなかなかすごいんだけど、あとのシーンは地味地味だったような気がする。でも、ま、いいですよ。

物語はインドの神話がベースになってて、とてもオーソドックスなヤツなので、特に意外性などはありません。日本昔話のような予定調和のお話です。

インドの蛇女なんておもしれえなあというかんじでよかったです。

この映画はインド版のDVDが買えます。2010年12月27日に出た。英語字幕つき↓

• Rhythm House - HISSS DVD
• India Store - HISSS DVD

ついでにこちらもどぞ↓

• 怪談蛇女 (1968)

ところで以下は余談。映画とは関係ない話。

上のメイキングのビデオでもマリカ・シェラワットがしゃべっていますが、『蛇』てのは、インドのみならずアジア全般では神様扱いされる動物ですが（やまたのおろちとか）、いろんな神話やおとぎ話があると思いますが、ひとつ思い出したんですけど、梅原克文さんの『カムナビ』はおもしろかったです。日本の神話の蛇神様がガオーと出てきて、おっそろしい現象が起きる小説です。未読の方はぜひ。梅原克文さんといえば『二重螺旋の悪魔』がおもしろいですよねー。あれはぜひ映画になってほしいのですが、もしやるならきちんとやってほしいなあ。

• カムナビ〈上〉 (角川ホラー文庫)
• 二重螺旋の悪魔〈上〉 (角川ホラー文庫)

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